埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介021120
JAMA Pediatr. 2019 Dec 2. [Epub ahead of print]
Association of Adverse Hearing, Growth, and Discharge Age Outcomes With Postnatal Cytomegalovirus Infection in Infants With Very Low Birth Weight
重要性:複数の研究によると、出生後サイトメガロウイルス(cytomegalovirus、CMV)感染は、気管支肺異形成(bronchopulmonary dysplasia、BPD)、壊死性腸炎(necrotizing enterocolitis、NEC)、神経発達障害等の極低出生体重(very low birth weight、VLBW;<1500 g)児の長期合併症を生じさせうることが示唆されている。しかし、現在のところ、VLBW児において、出生後CMVと聴覚、発育、入院期間との関係は不明である。
目的:CMV感染なしの児と比較した出生後CMV感染VLBW児の聴覚スクリーニング異常、退院時日齢増加、退院時発育不良のリスクを評価し、出生後CMV感染ありとなしの児で、BPD、NEC等の他の未熟児の主要な予後リスクについて比較した。
対象:この多施設後方視的コホート研究では、2002年1月1日から2016年12月31日までPediatrix Medical GroupのNICU302で管理されたVLBW児を対象とした。出生後CMVの診断と修正34週以降の聴覚スクリーニング結果のある日齢21に入院中の児を研究集団の対象とした。データは2017年12月11日から2019年6月14日までの間解析した。
主要評価項目:出生後CMV感染ありなしの児は傾向スコアを用いてマッチさせた。出生後CMVと聴覚スクリーニング異常、退院時日齢、発育、BPD、NECのリスクとの関係を検証するために、ポアソンおよび線形回帰を用いた。
結果:出生後CMVの児304人が同定され、これらの児のうち273人(89.8%;男児155人(56.8%))が出生後CMVなしの児273人(男児148人(54.2%))とマッチされた。聴覚スクリーニング異常は、出生後CMVなし児273人中25人(9.2%)と比較して、出生後CMVあり児273人中45人(16.5%)で生じた(リスク比(risk ratio、RR)、1.80;95% CI、1.14-2.85;P = .01)。出生後CMVはまた退院時日齢増加(11.89日;95% CI、6.72-17.06日;P < .001)および日齢体重比zスコア低値(-0.23;95% CI、-0.39--0.07;P = .005)と関連した。解析を行うことにより、1997年から2012年までの本コホートの児で前回報告したBPDのリスク増加は確認されたが(RR、1.30;95% CI、1.17-1.44;P < .001)、日齢21以降のNECリスク増加は確認されなかった(RR、2.00;95% CI、0.18-22.06;P = .57)。
結論:これらデータから、出生後CMV感染はVLBW児の聴覚と発育状態における持続する後遺症、および入院期間延長と関連することが示唆された。出生後CMV感染の実際の影響や抗ウイルス療法が関連合併症を減少させるかどうかを検討するために、前向き研究が必要である。
https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2755416