研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介031720④

Expert Rev Anti Infect Ther. 2017 May;15(5):417-419.

Encouraging postnatal cytomegalovirus (CMV) screening: the time is NOW for universal screening!

(前回の続き)
これに代わる方法が全新生児に対する普遍型(universal)CMVスクリーニングである。この方法は標的型(targeted)スクリーニングで前述した問題全てを回避するであろう。しかし、われわれはそういう状況にあるだろうか?確かに、先天性CMVスクリーニングは、『特異的疾患の徴候または症状のない個人において、疾患を検出するために集団に使用される』というスクリーニング法の基本的な定義に適合する。90%ものCMV感染新生児が臨床的に不顕性感染であり、新生児期には発見できないが、数か月から数年後に約15-20%が遅発性SNHLを発症する。

1968年、世界保健機関は、新生児スクリーニングプログラムの基本的推進のための原則、すなわち疾患有病率(CMVあり)、適したスクリーニングプログラムの存在(CMVあり)、安全かつ効果的な治療法の存在(CMVあり)を発表した。確かに先天性CMVスクリーニングはこの条件を満たしているようである。

臨床的に明らかな疾患を持つCMV感染児において、静注ガンシクロビルまたは経口バルガンシクロビルは、24か月時の聴覚予後を改善させ、おそらく同様に発達予後も改善させる。それにもかかわらず、特に生後1か月以内の治療にもかかわらず、後年聴覚障害が依然として発生するため、どの『症候性の』児が治療適応になるのかに関して、小児感染症専門家の間では議論が続いている。しかし、基本的な言語・学習パターンの確立に重要であるため、生後12-24か月にある程度の聴覚を維持することの重要性は強調しすぎることはない。

普遍型CMVスクリーニングは、新しく親になる人たちの心理的不快感や心配を生じさせる可能性がある。しかし、CMVと児に対する影響に関する知識がないことでよくいら立つため、このようなスクリーニングはCMV感染新生児の母親のほとんどに受け入れられている。(続く)

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14787210.2017.1303377