研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介032120⑤

Expert Rev Anti Infect Ther. 2017 May;15(5):417-419.

Encouraging postnatal cytomegalovirus (CMV) screening: the time is NOW for universal screening!

(前回の続き)
継続かつ未解決のジレンマは、理学的所見正常でCMV感染スクリーニング陽性の新生児をどのように最善に評価するかである。小児感染症専門家の間でさえ、聴覚および眼科的評価以外にどの検査が行われるべきかについてはコンセンサスがない。これら新生児全てに対して血算・血小板数・肝酵素値・神経画像(例:頭部超音波検査)が行われるべきか?手短に言えば、先天性CMV感染で正常理学的所見を示す児には、抗ウイルス療法開始の決定に影響する異常が精査で見つかる児もいるので、これらの検査は行われるべきである。一方で、先天性CMV感染で精査正常の完全な正常新生児には抗ウイルス療法は行うべきではないが、その代わり、遅発性難聴の早期発見のために、4歳まで6か月毎、以降1年毎の聴覚スクリーニングを行うべきである。最終的に、臨床的不顕性CMV感染のどの新生児が後遺症を発症するかを予測することは先天性CMVのブラックボックスであり、最適・適切な管理指針の手助けになるよう、このような児を判別するバイオマーカーが早急に必要である。

結論として、普遍型CMVスクリーニングを行う時期は今である!標的型および普遍型CMVスクリーニングはともに費用対効果が高いことが分かってきたが、普遍型スクリーニングは純貯蓄がより大きく、方向性を持ったケアを行うまたとない機会となる。

先天性CMV感染の有病率、それに関連した後遺症、利用可能な簡単な唾液スクリーニング法、利用可能な抗ウイルス療法、聴覚障害に対する方向性を持った治療のことを考えると、われわれは普遍型スクリーニングを現実のものにするために今行動しなければならない!(終わり)

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14787210.2017.1303377