研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介082120

Eur J Pediatr. 2020 Jul 22. Online ahead of print.

 

The association between enteric viruses and necrotizing enterocolitis

 

壊死性腸炎(necrotizing enterocolitisNEC)の研究で、腸管ウイルスはまだあまり注目されていない。腸管ウイルスとNECとの関連を示すため、NEC合併新生児51人と『正常』新生児39人の糞便検体を、ロタウイルス(rotavirusRV)、アストロウイルス(astrovirusASV)、サポウイルス、エンテロウイルス(enterovirusEV)、アデノウイルス(adenovirusADV)、Epstein-Barrウイルス(Epstein-Barr virusEBV)、サイトメガロウイルス(cytomegalovirusCMV)、ヒトボカウイルス(human bocavirusHBoV)検出のため収集した。ロタウイルスARVA)、ASVEBVADVNECとコントロール群両方で検出された;しかし、EVHBoVNEC群でのみ検出され、CMVはいずれの群でも検出されなかった。ASVは最もよく見られる腸管ウイルスであったが、NECとコントロール群で有意差は認めず、EBVEVの症例も同様だった。ADVHBoVの頻度はコントロール群よりもNEC群で高かったが(それぞれP = 0.011P = 0.005)、RVAは反対の傾向だった(P = 0.014)。ウイルス陽性または陰性はNECの臨床症状に影響しなかった。結論:NECにおける様々なウイルスの役割は一致しなかった。ASVのようなものは、新生児では片利共生生物として見なされるかもしれない一方で、NEC患者では、ADVEBVの存在が疾患重症度と関連している可能性がある。

 

https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00431-020-03746-w