研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介092520

Breastfeed Med. 2020 Aug 14. Online ahead of print.

 

A Quality Initiative to Improve Mother's Own Milk Feeding in Preterm Neonates

 

背景:新生児集中治療室での『あらゆる』人乳の使用率はここ10年で改善された。しかし、母親が母親自身の母乳(mother's own milkMOM)の分泌から搾乳・維持を行うことを補助する努力はいまだ懸案事項である。本研究では、早産児のMOMを改善させることを目的とした。

方法:本研究は20185月から20194月に行われた質改善(quality improvementQI)の新たな取り組みである。34週未満の全早産児を対象とした。『開始期間』(20185月から20188月)に、母乳サポートグループが結成され、母親は、動画とリーフレットを使用したMOMに関する構造化された出生前・後のカウンセリングを受けた。このことは、後方視的コントロールと比較して、MOM率を改善させた。継続期間(20188月から20194月)では、頻繁な電話でのお知らせ、カンガルーケアの標準化、非栄養吸啜プロトコール、毎日のカウンセリングセッションへの家族の参加等の方策を検証するため、様々な計画--実行--検証--改善サイクルが行われた。後方視的ベースラインデータを用いて、開始および継続期間を比較した。

結果:早産児125人中、27人を種々の理由で除外した。研究開始後3か月間で、生後24時間以内のMOMを投与された新生児の割合は、後方視的コントロールの24%から開始期間の82.9%まで改善し(p < 0.0001)、継続期間でも90.3%と安定したままだった。日齢1に投与されたMOM量は、中央値0 mLから開始期間の1 mLに有意に増加し(p < 0.0001)、継続期間で3 mLに維持された。MOM量は日齢3p = 0.0003)と日齢7p = 0.03)に有意に増加した。MOMで退院した児は後方視的コントロールの48.3%から継続期間の77.4%に有意に改善した(p = 0.005)。完全静脈栄養を行った児の数は54.6%から26.7%へ有意に減少した(p = 0.02)。

結論:QIは早産児のMOM改善に関して期待できる結果を示した。

 

https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/bfm.2020.0033?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed