研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介120720

BMC Pediatr. 2020 Nov 20;20(1):531.

C-reactive protein- and clinical symptoms-guided strategy in term neonates with early-onset sepsis reduced antibiotic use and hospital stay: a quality improvement initiative

背景:早発型敗血症(early-onset sepsis、EOS)は、出生時、致命的である可能性のある合併症である。臨床症状はしばしば特異的ではなく、バイオマーカーのEOSに対する的中率も低い。それゆえ、臨床的に疑えば、血液培養陰性の児に対しての抗菌薬治療をよく行う。本研究では、質改善の取り組みが培養陰性敗血症の正期産児に対して安全に、正当な理由のない抗菌薬使用を減らすことができるかどうか、を評価した。
方法:質改善の取り組みに新しい治療ガイドラインを取り入れ、2018年6月11日に導入した。ガイドラインには、CRPと臨床症状による意思決定と短期間の抗菌薬静注療法が記載された。スウェーデン・エンチェピングのRyhov病院でEOSの治療を受けた全正期産新生児を、新しいガイドライン導入前(期間1:2016-2017年)と後(期間2:2018年6月から2019年9月)で検証した。検査データおよび臨床データを解析した。
結果:期間1の正期産新生児7,618人、期間2の正期産新生児5,005人を対象とした。われわれは、期間1にEOS 140例(1.8%)、期間2にEOS 97例(1.9%)を診断した。期間1と期間2で、短期抗菌薬療法の基準を満たしたEOS新生児は、それぞれ61例(61/140、44%)と59例(59/97、61%)だった。血液培養陽性数は、期間1と期間2で、7人(0.92/1,000出生)と5人(1.0/1,000出生)だった。ガイドラインの基準を満たした群でのCRP中央値は、期間1で52 mg/L(37-62)、期間2で42 mg/L(31-56)だった。抗菌薬療法の期間(中央値:7日対5日、p < 0.001)と入院期間(中央値:7日対5日、p < 0.001)は、医療費(年間122,000ユーロ減少)とともに、ガイドライン導入後に基準を満たした群で減少した。
結論:EOSに対するCRPと臨床症状による意思決定は、抗菌薬療法および入院期間を有意に減少させ、それゆえ、正期産児コホートでの再感染なしに医療費も減少させた。

https://bmcpediatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12887-020-02426-w