研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介122620

Pediatr Res. 2020 Dec 7. Online ahead of print.

 

Placental origins of neonatal diseases: toward a precision medicine approach

 

胎盤は、母体および胎児の健康状態同様、子宮内環境についての正確な情報の単一で最も信頼できるソースである。胎盤は、はっきりと異なるが強く相互に関連し合う2つの個人の生理機能を調節する。胎盤で生じる病理とその病理を軽減させるために胎盤が行う適応は、母親と新生児の後の生涯にわたる健康に影響する可能性がある。胎盤病理検査は、妊娠合併症に関連するイベントの記録を提供するだけでなく、子宮内環境を探索・理解するためのまたとない機会をも提供する。多くの胎盤病理異常が、様々な新生児合併症と関連すると報告されてきた。この総説の目的は、胎盤病理異常と、①新生児脳症、②気管支肺異形成症、③先天性心疾患、④自閉症スペクトラム障害等の新生児合併症合併児の神経発達予後との関係に関するエビデンスをまとめることである。これら疾患の過程それぞれについて、われわれは将来における研究の優先事項を提案する。われわれは、合併症をもつ新生児に対する個別化療法を決定するための神経胎盤学分野の基礎的な第一歩として、どの胎盤が組織学的評価を受けるべきかをトリアージするための院内プロトコールを示して結論とする。

インパクト

・この総説の目的は、新生児疾患が胎盤起源であるというエビデンスを概説することである。

・われわれは、将来の研究における神経胎盤学分野の優先事項を提案する。

・われわれは、どの胎盤が組織学的評価を受けるべきかをトリアージする病院単位の方法論を示す。

 

https://www.nature.com/articles/s41390-020-01293-6