研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介080619

Neonatology. 2019;115(4):384-391.

 

Bronchopulmonary Dysplasia: 50 Years after the Original Description

 

気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasiaBPD)は、約50年前に初めて記述されてから進化し続けている新生児医療でも数少ない疾患の一つである。この期間、出生前ステロイドやサーファクタント療法等の新生児医療の進歩により、新生児死亡率は有意に減少し、早産児の生育限界を引き下げた。BPDの発症率は、特に超低出生体重児で、高いままだが、臨床像は低い死亡率または高い合併症率を伴う、より軽症な疾患に進化した。このようなnew BPDは①肺胞・血管発達変化、②出生前後の病原因子による傷害、③肺内修復過程、の複雑な相互作用の結果である。BPDのリスク因子の理解は大いに進んだが、その定義や効果的な予防戦略の発見については課題が残ったままである。間葉系幹細胞、エクソソーム、免疫調節物質、成長因子等の新規予防的介入法が有望であるが、いまだに臨床前の段階である。長期予後をより良く予測できる、肺病理の重症度に基づいたBPDの定義の発見、肺疾患の早期予測因子の開発、革新的かつエビデンスに基づいた予防・管理戦略の発見等が将来の課題である。


https://www.karger.com/Article/FullText/497422