埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介082419
JAMA
Pediatr. 2017 Mar 1;171(3):271-279.
Revisiting
the Definition of Bronchopulmonary Dysplasia: Effect of Changing Panoply of
Respiratory Support for Preterm Neonates
重要性:多くの気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasia、BPD)の定義が臨床的に使用されている;しかし、新生児室で使用される多くの呼吸補助療法が変化し続けていることを考えると、それらの妥当性は不明のままである。
目的:早産児の呼吸および神経発達予後を最も予測するBPDの最適な定義を明らかにすること。
デザイン・場所・対象:3次新生児集中治療室の後方視的コホート研究。カナダ新生児ネットワーク参加NICUに入院し、18-21か月時にカナダ新生児フォローアップネットワーククリニックでフォローアップ評価を終了した2010年から2011年に在胎期間29週未満で出生した早産児。
曝露:異なる修正週数における呼吸状態に基づいた各種従来のBPDの定義
主な予後および検査:重症呼吸器合併症、18-21か月時神経感覚障害、呼吸器または神経感覚合併症または退院後死亡の複合予後。調整オッズ比(Adjusted odds ratios、AORs)と95%信頼区間を計算した。
結果:1914の対象生存児のうち、1503人を評価し(平均在胎期間は26.3週;68%が白人、9%が黒人、23%が他の人種/民族)、88人が重症呼吸器合併症、257人が神経感覚障害、12人が退院後死亡した。各修正週数での基準として酸素需要のみを用いた定義は酸素/呼吸補助(respiratory support、RS)(酸素投与かつ/または陽圧RS)の基準を用いた基準と比較して予測能が低かった;その中で、修正36週時の酸素/RSがすべての予後に対して最も高いAORと曲線下面積(area under the curve、AUC)を示した。さらに、修正34から44週各週での酸素/RSの解析では、重症呼吸器合併症の予測能は34週(AOR, 1.8; 95% CI, 0.9-3.4, AUC, 0.721)から40週(AOR, 6.1; 95% CI, 3.4-11.0; AUC, 0.799)にかけて増加することが示された。重症神経感覚障害については、修正40週時のAORとAUC(AOR, 1.5, 95% CI, 1.0-2.1; AUC, 0.740)は、修正37週時の最高値(AOR, 1.8; 95% CI, 1.3-2.6; AUC, 0.743)よりごくわずか下回った。
結論と関連性:酸素のみを使ってBPDを定義することは、酸素/RSの方が慢性呼吸不全のよい指標であるため、不適切である。特に、修正40週時の酸素/RSは重症呼吸器合併症の最も良い予測因子として同定され、一方で18-21か月時の神経感覚合併症の良好な予測能も示した。
https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2598464