埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介082719
Ann Am
Thorac Soc. 2015 Dec;12(12):1822-30.
Comparisons
and Limitations of Current Definitions of Bronchopulmonary Dysplasia for the
Prematurity and Respiratory Outcomes Program
論拠:気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasia、BPD)は未熟児で最もよく見られる合併症であるが、通常使用される定義の妥当性および実用性に関しては疑問視されている。
目的:現在行われている超早産児の前方視的多施設観察コホートにおけるBPDに通常使用される定義3つを比較した。
方法:修正36週時に以下のBPDの定義で生存児を分類した:①酸素需要(Shennanの定義)、②国立衛生研究所ワークショップの定義、③ルームエアチャレンジ後の『生理学的』定義。
結果:修正36週時に評価した生存児765人のうち、BPDはShennan、ワークショップ、生理学的定義によりそれぞれ、40.8、58.6、32.0%の児で診断された。分類しなかった児の数はワークショップの定義で最も少なく(2.1%)、生理学的定義で最も多かった(16.1%)。修正36週前にルームエアで退院した児をBPDなしとすると、修正Shennanの定義は、分類しない児が2.9%でワークショップの定義と比べて遜色なかった。修正36週時の4L/分以上の鼻カニューレ(FiO2 0.21)による新しい管理により12.4%の児のBPDありを覆い隠してしまった。
結論:現在あるBPDの定義はデータ収集の簡便さや分類されない症例数の点で異なった。現在生じている高流量鼻カニューレ等の管理法の変化により、現在の定義への適応が制限され、誤分類されてしまう可能性がある。小児期の呼吸器合併症と相関するBPDの最新の定義が必要とされる。