埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介122419
Pediatr
Int. 2019 Jul 8. [Epub ahead of print]
Microwave
treatment of breast milk for prevention of cytomegalovirus infection
背景:母乳は、ヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus、HCMV)血清陽性母体から与えられる場合を除いて、極早産児(very preterm infants、VPI)にとって最良の栄養法である。VPIは敗血症様症候群または胆汁鬱滞発症のハイリスクであることを考え、母乳を介したHCMV感染を予防する方法が研究されてきた。Holder低温殺菌(Holder pasteurization、HP)が標準的手法であるが、HPは特殊な機器を必要とする。電子レンジ(microwave、MW)はどこでも手に入り、それゆえ、われわれはMWがHCMV感染予防に使用できるか検討する研究を今回行った。
方法:HCMVタウン株をミルクに加え、その後にHPまたはMW(500 Wを20、30、40、60秒)を用いて加熱した。HFL-III細胞を培養皿に播いた。加熱後のHCMVミルクサンプルを感受性細胞単層に播種した。ウイルス価決定のため、プラーク数を数えた。HCMVのDNAコピー数測定も行った。
結果:HCMVを5.0 × 10(3)プラーク形成単位(plaque-forming units、p.f.u.)/mL加えると、ベースラインは772 p.f.u./mLとなり、20秒間のMW照射後に257 p.f.u./mLに減少した。HPまたは30、40、60秒間のMW後にはプラークは検出されなかった。母乳の温度は40秒間のMW照射後に60℃に達した。HCMV-DNAコピー数はMWで変化しなかった。
結論:40秒間500Wの電子レンジはHCMV感染の予防法として使用できる。母乳中の生物活性因子の喪失等、さらなる研究が臨床応用される前には必要である。