埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介011320
Pediatrics.
2018;141(2). pii: e20170635.
Outcome
of Preterm Infants With Postnatal Cytomegalovirus Infection
目的:後天性サイトメガロウイルス感染症合併の早産児は早期小児期に神経学的後遺症を発症するかどうかを評価する。
方法:在胎期間32週未満の児を正期産相当時にサイトメガロウイルス(cytomegalovirus、CMV)のスクリーニングを前方視的に行った。修正16か月時にGriffiths Mental Development Scales(GMDS)、修正24-30か月時に神経発達をBayley Scales of Infant and Toddler Development(第3版)またはGMDS、6歳時にWechsler
Preschool and Primary Scale of Intelligence(第3版)とMovement Assessment Battery for Children(第2版)を用いて、神経発達をCMV陽性とCMV陰性の児で比較した。6歳時にCMV陽性児の聴力を評価した。
結果:修正16か月時に356人の児の神経発達を評価し、49人(14%)が感染、307人(86%)が感染していなかった。感染児はGMDS運動スケールが有意に良かった。修正24-30か月時のBayley Scales of Infant and Toddler
Development(第3版)またはGMDSには差がなかった。6歳時、感染した児はWechsler Preschool and Primary Scale of
Intelligence(第3版)が低かったが、平均値は正常域で、言語IQのみに有意差を認めた(96 [SD 17] 対 103 [SD 15];P = .046)。重回帰分析では、言語IQに対してCMV感染の有無は影響がなかったが、母体の教育と人種が有意に影響した。運動発達での有意差は認めず、感染児の誰も感音性難聴を発症しなかった。
結論:本コホート研究では、早産児の後天性サイトメガロウイルス感染は6歳までの神経発達に対して悪影響は示さなかった。