研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介012120

J Clin Virol. 2017;93:57-64.

 

High prevalence of cytomegalovirus infection in surgical intestinal specimens from infants with necrotizing enterocolitis and spontaneous intestinal perforation: A retrospective observational study

 

背景:壊死性腸炎(necrotizing enterocolitisNEC)は、主に早産児が罹患する重症でしばしば致死的消化器救急疾患であり、新生児サイトメガロウイルス(cytomegalovirusCMV)感染がいくつかの症例では、その病因に寄与している可能性があるとするエビデンスがある。

目的:本研究では、NEC合併児中のCMV罹患率を評価することを目的とした。

研究デザイン:スウェーデンのカロリンスカ大学病院とウプサラ大学病院において、NEC・自然消化管穿孔(spontaneous intestinal perforationSIP)・関連外科合併症を合併した児61人から消化管組織サンプル70を収集した。消化管疾患なし剖検児からの組織サンプル10をコントロールとした。サンプルは、それぞれ免疫組織化学(immunohistochemistryIHC)とin situ hybridizationISH)を用いて、CMV前早期抗原(immediate-early antigenIEA)・CMV後期抗原(late antigenLA)・5-リポキシゲナーゼ(5-lipoxigenase5LO)・CMV-DNAを解析した。10の代表サンプルでは、IHCでのCMV IEA陽性細胞をlaser capture microdissectionLCM)した後にCMV DNATaqman PCRで解析した。

結果:代表症例の消化管組織サンプル70のうち、CMV IEAIHC5781%)、CMV LA4564%)検出された;コントロール組織サンプル10では両抗原ともに220%)陽性だった。5LOはすべて検索した代表症例とコントロールからの消化管組織切片で検出された。CMV DNALCM後、10サンプル中440%)で検出された。ISHで、IHC-IEA陽性サンプル13すべてでCMV DNA陽性だったが、IHC-IEA陰性サンプル5のうち360%)でも陽性だった。

結論:CMV特異抗原とCMV DNAは、NECSIP、関連外科合併症児の消化管組織サンプルで高頻度に検出された。われわれの知見により、新生児CMV感染はこれら疾患の病因に寄与し、患児の予後に影響するという新たなエビデンスを明らかにした。


https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1386653217301622?via%3Dihub