埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介013020
Breastfeed
Med. 2016 Dec;11:557-560. Epub 2016 Oct 18.
Evaluation
of the Freeze-Thawing Method in Reducing Viral Load of Cytomegalovirus in
Breast Milk of Mothers of Preterm Infants
背景:早産児母体の母乳中サイトメガロウイルス(cytomegalovirus、CMV)ウイルス量減少を目的とする凍結融解法を評価することを本研究の目的とした。
方法:本研究では、早産児を育児中の母親169人のCMV感染を血清学的に評価した。育児中の母親29人(17.15%)がCMV感染(最近の感染(N = 2, IgG + IgM +)または既感染(N = 27 IgG + IgM-))と血清学的に判断された。分娩後2-6週に、血清学的陽性母体(N = 29)の母乳中CMV量を、-20°C・72時間の冷凍前後に、リアルタイムPCRで評価した。CMVのDNAパーティクル陽性母乳の早産児(N = 25)すべてを3か月まで、リアルタイムPCRによる尿中CMV検査とともに、CMV感染の徴候や症状をフォローした。
結果:血清学的陽性母体のリアルタイムPCRによる母乳検査により、25が母乳中CMV DNAパーティクル陽性だった。凍結融解後、4/25(16%)の母乳サンプルでウイルスDNAが検出され、21(84%)でCMV DNAパーティクルが検出されなかった。これらのサンプルで、凍結前の平均ウイルス量は、76.04 ± 34.08コピー/μL(20-135.00コピー/μL)、凍結後は6.75 ± 4.34コピー/μL(0.00-13.00コピー/μL)であった。凍結はサンプル中のウイルス量を有意に減少させた(p = 0.001)。
結論:本研究により、凍結融解法は母乳サンプル中のCMV量減少に有効な方法であることが示された。