研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介020320

PLoS One. 2016 Aug 18;11(8):e0161116.

 

Inactivation of Cytomegalovirus in Breast Milk Using Ultraviolet-C Irradiation: Opportunities for a New Treatment Option in Breast Milk Banking

 

母体からの供給が不十分または入手不可能な場合、ミルクバンクから低温殺菌されたドナー・ヒトミルクが極早産児に提供される。ドナーミルクは現在、Holder低温殺菌により処理され、微生物学的に安全な製品であるが、免疫防御成分を有意に減少させる。254 nmでの紫外線-CUltraviolet-CUV-C)照射が代替処理法として研究中であり、Holder低温殺菌よりも、ラクトフェリン・リゾチーム・分泌型IgAのような成分をかなり良好に保持することが明らかになっている。われわれはUV-C照射を用いて、母乳によく分泌されるウイルスである、サイトメガロウイルスの不活化を示した。様々な処理量により完全複製は遮断された。しかし、細胞内のウイルス前初期タンパク質の存在は完全に消去できず、いくつかのウイルス遺伝子の転写は依然として生じていることが示された。結論として、UV-Cは、生物活性を保持したヒト・ドナーミルクの処理のための低温殺菌の安全な代替法かもしれない。しかし、われわれのデータにより、CMV不活化は、UV-C照射を用いた母乳処理のためにデザインされたそれぞれのデバイスに関して注意深く評価しなければならないだろうことが示唆された。


https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0161116