研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介020620

Transfusion. 2018 Dec;58(12):2894-2902.

 

Sequence analyses of variable cytomegalovirus genes for distinction between breast milk- and transfusion-transmitted infections in very-low-birth-weight infants

 

背景:極低出生体重児(very-low-birth-weight infantsVLBWIs)へのサイトメガロウイルス(cytomegalovirusCMV)感染は時々重篤な臨床症状を生じさせる。母乳が主な感染源と考えられているが、輸血後にCMV疾患が発症した場合、輸血を介したCMVtransfusion-transmitted CMVTT-CMV)感染がしばしば疑われる。それゆえ、輸血を介したCMV感染と母乳を介したCMV感染を区別することは臨床的に重要である。

研究デザインと方法:研究A65人のVLBWIsで後天性CMV感染の発症率を前方視的に検討した。研究B:われわれのヘモビジランスシステムで報告された18人のTT-CMV疑いのVLBWIsの感染ルートを特定するために、母乳と輸血した白血球除去血液製剤の保存サンプル中CMV DNAPCRを行った。さらに、われわれは、可変CMV遺伝子UL139UL146のシークエンス解析を行うことにより、患者尿/血液サンプルと母乳中のCMVの株を識別した。

結果:研究A:後天性CMV感染は65人のVLBWIs4人(6.2%)で認めた。研究BCMV DNAを母乳が入手できた14人のTT-CMV疑い例のうち12人の母乳で検出した。さらに、UL139UL146遺伝子の両方で、母乳・患者尿/血液間のCMV DNAシークエンスマッチ率は11人の患者でそれぞれ100%とほぼ100%だった。一方、14患者中11の保存血液サンプルでCMV DNAは陰性だった。

結論:VLBWIでは、CMVは主に母乳を介して感染する。TT-CMVのリスクは白血球除去血液製剤を使用すれば、極めて低いようである。可変CMV遺伝子のシークエンス解析はCMVの感染ルートを評価するのに便利である。


https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/trf.14920