研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介021720

AJP Rep. 2016 Apr;6(2):e198-202.

 

Clinical Findings and Autopsy of a Preterm Infant with Breast Milk-Acquired Cytomegalovirus Infection

 

背景:母乳によるサイトメガロウイルス(cytomegalovirusCMV)感染のリスクのため、CMV血清学的陽性母体からの未低温殺菌・未凍結・生母乳は極低出生体重に当初は禁忌であった。近年、この感染の重症度についての議論が増えつつあり、国際的なガイドラインは現在異なっている。2012年から、米国小児科学会はすべての早産児に対して、生母乳による栄養を推奨した。

症例:われわれは、在胎期間274日で未熟児として出生し、日齢12から生母乳を与えた症例について報告する。児は日齢39から遅発性CMV感染を発症した。CMVPCRは日齢3で陰性、日齢49で強陽性、母乳のPCRも同様だった。母がCMV特異的IgGのみだった一方、児はCMV特異的IgM陽性だった。日齢52、児は敗血症性ショックでさらに症状悪化し、日齢54に致死的な心停止に至った。児の双胎兄弟は無症候性CMV感染だった。剖検と組織学的検査により、(先天感染と異なる)CMVによって生じた多臓器損傷が明らかとなったが、細菌感染の証拠はなかった。

結論:まれではあるが、極低出生体重児に与えた生母乳により感染した出生後CMV感染は、激烈な結果に至る可能性がある。


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4889443/