研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介022520

J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2018;67(5):654-659.

 

Anti-Cytomegalovirus Activity in Human Milk and Colostrum From Mothers of Preterm Infants

 

目的:本研究は、抗体陽性および抗体陰性の早産児母親からの母乳の抗ヒト・サイトメガロウイルス(cytomegalovirusCMV)活性について研究し、異なる乳汁分泌ステージを通した変化およびドナー・ヒト母乳バンクで採用されている処理法であるホルダー低温殺菌後の変化について解析することを目的とした。

方法:早産児母親18人を研究対象とした。初乳・移行乳・成熟乳サンプルを集め、抗CMV活性を調べた。母乳からの免疫グロブリンA除去はジャカリン樹脂により行った。プールした母乳サンプルはホルダー法により低温殺菌した。

結果:程度に差はあったが、すべてのサンプルに抗CMV活性があった。CMV IgG陽性の母親では、初乳は移行乳および成熟乳サンプルよりも有意に活性が高かった。さらに、抗体陰性の母親からの初乳よりも強力だった。IgG陽性の母親からの初乳の免疫グロブリンAを除去すると、抗CMV活性の一部が失われた。ホルダー低温殺菌は有意に抗ウイルス活性を減弱させた。

結論:母乳には抗CMV活性があり、その効力は乳汁分泌のステージや母親の抗体保有状態によって異なるかもしれない。この生物学的特性は、CMV IgG陽性の母親の母乳から移行するCMV粒子を一部中和し、それにより児への感染ウイルス移行のリスクを減少させているかもしれない。


https://insights.ovid.com/crossref?an=00005176-201811000-00023