研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介032720

World J Pediatr. 2019 Apr;15(2):190-197.

 

The data and characteristics of the human milk banks in mainland China

 

背景:母乳バンク(Human milk banksHMB)は北米および欧州において100年以上前から設立されてきた。本研究では、2013年に初めての非営利HMBが始動して以来の中国におけるHMBの運用と特徴について報告することを目的とした。

方法:中国でのHMB運用は北米母乳バンク協会および欧州各国の基準およびガイドラインに基づいており、医療スタッフによる地方のHMBのみでの寄付といった中国内での必要性と事情に合うように修正された。われわれは、これら14HMBの記述データとレシピエント、対象母乳ドナーおよびドナーミルクの臨床的特徴について後方視的にレビューした。

結果:中国では、20133月から201612月までに14の非営利HMBが設立され、1つを除いて稼働し、中国の南部・東部・北部・北西部にある。全2680人の対象ドナーが4608.2 Lの母乳を寄付した。これらドナーの平均年齢は29.4歳で、60.6%が大学教育を受け、90.6%が正期産であった。全4678人のレシピエントは、早産児(n = 299063.9%)、ミルクアレルギー(n = 71115.2%)、母体疾患(n = 3457.4%)、重症感染症(n = 3146.7%)、壊死性腸炎(n = 2445.2%)、術後(n = 380.8%)、その他(n = 360.8%)であった。BC型肝炎またはサイトメガロウイルス陽性のために廃棄された生母乳の割合はたった4.4%だった。

結論:HMBは中国で急速に設立されつつある。ドナー母乳は早産児だけでなく、他の病的新生児にも使用されていた。しかし、母乳バンクの持続可能性には、関連保健局と政府による適切な管理とより多くの財政支援が必要である。


https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs12519-019-00226-6