埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介041820
Stem
Cells Transl Med. 2020. [Epub ahead of print]
Alveolar
wars: The rise of in vitro models to understand human lung alveolar maintenance,
regeneration, and disease
特発性肺線維症・慢性閉塞性肺疾患・気管支肺異形成症等の肺疾患はヒトの肺でガス交換を行う肺胞を傷害する。動物実験では、肺胞II型幹/前駆細胞を含む肺胞細胞の調節障害が疾患の病因と関係していることが示されている。マウス-ヒト間の違いのため、恒常性・肺修復・疾患を生じているヒトの肺により近い肺モデルの確立が切望されてきた。今回われわれは、最近の1細胞RNAシーケンス研究により、疾患特異的に認める分子不均一性・細胞多様性・未知の細胞型の同定等、ヒトの肺胞の細胞構成および分子構成に関する知見がどのように増えてきているかについて議論する。肺胞細胞の機能解析には、ヒト多能性幹細胞・胚性前駆体・健康肺および疾患肺の成人組織から確立したin vitroヒト肺胞オルガノイドが、肺胞上皮の細胞・分子生物学的特徴を形作ってきた。可能性のある解決法とともに、この系の欠点が強調されている。オルガノイド培養チップや精密切断肺薄切等のex vivo系は、肺組織のさらに複雑な細胞や構造を検討することで、オルガノイド研究を補完することができ、ヒト肺疾患の非常に重要なモデルであることが明らかになってきている一方、肺移植のためには無細胞や合成の足場の作製が期待されている。この系のさらなる改善により、ヒト肺胞幹/前駆細胞の根本的な生物学に対する理解が進み、末期の肺疾患に罹患した患者に対する将来の治療または薬理学的介入が生じるだろう。
https://stemcellsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/sctm.19-0433