研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 COVID-19文献紹介051420

Lancet Infect Dis. 2020 May;20(5):559-564.

 

Clinical features and obstetric and neonatal outcomes of pregnant patients with COVID-19 in Wuhan, China: a retrospective, single-centre, descriptive study

 

背景:201912月、重症呼吸器症候群コロナウイルス2severe acute respiratory syndrome coronavirus 2SARS-CoV-2)によるコロナウイルス疾患2019coronavirus disease 2019COVID-19)が中国武漢で発生した。感染妊婦数は増加しているが、妊娠中のCOVID-19臨床所見に関する情報はあまりない。本研究では、COVID-19感染妊婦の臨床所見と産科的・新生児科的予後を明らかにすることを目的とした。

方法:今回の後方視的・単施設研究では、中国武漢にある同済病院に入院したCOVID-19感染全妊婦を対象とした。臨床所見・治療法・母体・胎児予後について評価した。

結果:202011日から202028日まで同済病院に入院した患者7人を対象とした。患者の平均年齢は32歳(範囲29-34歳)で平均在胎期間は391日(範囲37-412日)だった。臨床症状は、発熱(6人[86%])、咳(1人[14%])、息切れ(1人[14%])、下痢(1人[14%])だった。患者すべてに対して、臨床症状から3日以内に、平均在胎期間392日で、帝王切開が行われた。フォローアップ最終日は2020212日だった。妊婦と新生児の予後は良好だった。新生児3人がSARS-CoV-2の検査を行い、新生児1人が出生後36時間でSARS-CoV-2陽性だった。

解釈:妊娠後期に感染した患者の母体・胎児・新生児予後は非常に良好のようで、これらの予後は、より安定したデータがない中で、最良の診療と考える集中・積極管理によりもたらされた。これら妊娠中のCOVID-19感染患者の臨床的特徴は、文献で報告されているCOVID-19感染成人非妊婦と同じだった。


https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1473309920301766?via%3Dihub