埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介052220
Am J
Physiol Lung Cell Mol Physiol. 2020. [Epub ahead of print]
Over-expression
of Spock2 in mice leads to altered lung alveolar development and worsens
lesions induced by hyperoxia
SPOCK2は、フランスの極早産新生児集団における気管支肺異形成症に対する遺伝的感受性と関連すると報告された。その発現は、肺発達段階で増加し、ルームエア・コントロールと比較して高濃度酸素暴露後の新生仔ラットで増加する。肺発達におけるSPOCK2の役割についてさらに検討するため、われわれは、2つのマウスモデル、①特異的抗Spock2抗体を使用したものと、②Spock2を条件付き・肺標的過剰発現したトランスジェニック・マウスモデルを用いて、高濃度酸素誘導Spock2発現を再現させたもの、をデザインした。マウスを高濃度酸素条件にした時、抗Spock2抗体による治療は有意に肺胞化を改善させた。Spock2肺過剰発現は、ルームエア新生仔における肺発達を変化させ、高濃度酸素誘導肺傷害を悪化させた。抗Spock2抗体処理もSpock2過剰発現もmmp2の異常活性化とは関係がなかった。これら2つのモデルは肺胞発達に重要な分子の発現も変化させなかった。本研究は、肺胞発達(特に肺傷害後)に対するSPOCK2の有害作用についての議論をもたらし、BPD感受性に対する作用が示唆された。これらの作用は、メタロプロテアーゼ活性や正常肺胞化に必須の因子の発現の調節障害によるものではなかった。1型および2型肺胞上皮細胞間のバランスが関与しているかもしれない。
https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/ajplung.00191.2019