埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介052320
Arch Virol.
2020 May;165(5):1099-1107.
The
nucleic acid positive rate and genotype distribution of human cytomegalovirus
in human milk banks in China
中国における母乳中ヒト・サイトメガロウイルス(human cytomegalovirus、HCMV)感染の状況を検討するため、3つの省からの母乳サンプル510(母乳バンクからのドナー母乳サンプル211と未熟児の母親からの母乳サンプル299)でHCMV DNAの検出を試みた。全体で、ドナー母乳サンプルの46.4%、未熟児の母親からの母乳サンプル59.2%でHCMV DNA陽性だった。HCMV DNA濃度は、HCMV-DNA陽性母乳サンプル中で約10(3)~10(4) コピー/mlだった。グリコプロテインB(glycoprotein B、gB)遺伝子の299から305-bpのフラグメントのヌクレオチド・シークエンスに基づき、3つのHCMV遺伝型(gB1、gB2、gB3)を母乳中で同定した。母親からの4つの母乳サンプルで遺伝型gB1とgB3の混合感染が認められた。遺伝型gB1がHCMV-DNA陽性母乳サンプルで優位な遺伝型であり、3つの系統に分類された。3つのHCMV遺伝型でいくつかの特徴あるヌクレオチドとアミノ酸を認め、遺伝型の区別に役立った。本研究は中国の母乳バンクからの母乳のHCMV感染状況と遺伝学的特徴を明らかにした初めての研究であり、後天性HCMV感染症予防と母乳バンクの安全性確保に役に立つだろう。
https://link.springer.com/article/10.1007/s00705-020-04573-y