研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介053020

Eur Respir J. 2020. Online ahead of print.

 

miR-184 mediates hyperoxia-induced injury by targeting cell death and angiogenesis signalling pathways in the developing lung

 

マイクロRNAmicroRNAsmiRs)は肺胞化と血管形成を阻害することにより正常な肺発達および肺機能を障害し、気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasiaBPD)を発症させることが明らかになってきた。今回われわれは、miR-184が発達過程にある肺において異常な肺胞化と肺血管新生を特徴とするBPD表現型発現に重要や役割を果たしていることを報告した。BPD臨床検体(気管吸引液(tracheal aspiratesTA)、BPDヒト新生児肺)と高濃度酸素暴露した胎児ヒト肺II型肺胞上皮細胞(Type II alveolar epithelial cellsTIIAECs)においてmiR-184の発現増加が認められた。これと一致して、全肺、高濃度酸素暴露実験的BPDマウス肺から新鮮分離したTIIAECs、胎仔マウス肺でmiR-184-3p発現の増加も検出された。われわれは、miR-184-3p過剰発現はBPD肺表現型を増悪させ、一方miR-184-3p発現減少はBPD表現型を改善させ、呼吸機能も改善させることを示した。われわれは、miR-184特異的標的分子:血小板由来成長因子ベータ(platelet-derived growth factor-betaPdgf-β)とzinc finger蛋白ファミリーメンバー(zinc finger protein family memberZfpm2)としても知られている friend of Gata 2Fog2)を同定し、それらは肺の肺胞化および血管新生に大きく関与していることを示した。肺TIIAECsと血管内皮細胞における細胞ベースのルシフェラーゼ解析とmiR-184-3p発現のダウンレギュレーション、miR-184-3p標的分子Pdgf-βFog2の遺伝子ノックダウンを用いて、われわれは、miR-184-3p発現抑制がPDGF-β/AKT/Foxo3/Bax, Bcl2シグナリングを調節することにより肺胞化を改善させ、Fog2/VEGF-A/Angiopoietin-1/2パスウェイにより血管新生を促進させることを示した。まとめると、これらのデータにより、miR-184-3p特異的阻害剤は、肺発達と肺機能に対する高濃度酸素の有害作用を調節するための新規治療的介入として働く可能性があることが示唆された。

 

https://erj.ersjournals.com/content/early/2020/05/13/13993003.01789-2019