研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介061620

Am J Pathol. 2020. Online ahead of print.

 

Lung and eye disease develop concurrently in supplemental oxygen-exposed neonatal mice

 

気管支肺異形成症(BPD)と未熟児網膜症(ROP)は、呼吸不全を防ぐために酸素投与された早産児に発症する2つの消耗性疾患である。両者とも慢性閉塞性肺疾患および失明等、一生涯続く後遺症を生じさせる。同時に生じる疾患の標準的実験モデルがないため、BPDROPの関係性についてはよく分かっていない。このギャップを埋めるため、高濃度酸素性網膜症の安定したマウスモデルに、C57BL/6マウスに対する日齢7から12までの75%酸素暴露が採用された。ROPの基本的特徴はこの方法で再現され、同マウスの肺について、BPD様肺傷害の有無を同時に検証し、早期酸素投与の短期および長期の影響について調べた。日齢1218、予想された内網膜の血管障害とともに、組織病理学的に軽度の肺疾患が生じた。後半のタイムポイントでは、網膜外層の菲薄化が生じるのと同時に、肺傷害は重篤な気道の拡大と肺胞の単純化へと進行した。さらに、ROPで調節障害が報告されている重要な血管新生・酸化ストレス・炎症性因子は肺でも同様に障害された。これらのデータにより、これら2つの新生児疾患の相互関連性が新たに明らかとなり、BPDROPの新規治療ターゲット発見の可能性をもたらした。

 

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S000294402030287X