埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介112720
Paediatr
Anaesth. 2020 Nov 14. Online ahead of print.
A
quality improvement initiative to improve management of procedural pain in
preterm neonates
背景:新生児集中治療室(neonatal intensive care units、NICU)で管理される新生児には多くの侵襲的手技が加えられる。しかし、新生児の手技による痛みは、ほとんどの新生児室でよく認識されていないし、管理もされていない。
目的:Premature
Infant Pain Profile(PIPP)で計測する早産児(在胎期間<37週)の手技による痛みの重症度を2020年4月までに50%減少させること。
方法:質改善の取り組みを、南インドの三次NICUで行った。痛みはPIPPを用いて診療に携わらない2人の研修医によって独立して評価した。ベースラインデータの記録と新生児の痛みに関する医療従事者(health care personnel、HCP)の知識を評価するための質問を行った後、介入が計画された。以下をplan-do-study-act(PDSA)サイクルで行った-①教育セッション、②ベッドサイドでの視覚教材の導入、③非薬理学的手法の使用を示すシミュレーションセッションと毎日の回診での手技サーベイランスチャートの導入、④ビデオを用いたフィードバックセッション。維持相でも、観察を続けた。
結果:HCPは足底採血と気管挿管に関する痛みに対する認識が低かった。彼らは新生児の痛みのサインや徴候にも気付きにくかった。研究期間にトータル202回の手技が観察された。平均痛みスコアはベースライン期の12.8 ± 4.5から維持相の6.2 ± 1.8へと有意に減少した。鎮痛法の使用はベースライン期の13%から維持相の73%へと増加した。足底採血のための自動ランセットの使用は0から維持相の94%に増加した。適切な環境と児のステートで手技が行われることが徐々に増えていった。1日当たりの平均手技数はベースライン期の6.5 ± 1.8から維持相の2.7 ± 0.9へと減少した。
結論:標的とした介入により、①鎮痛法の使用改善、②手技数の減少、③HCPの教育及びトレーニングにより、新生児の手技による痛みの管理を改善することができた。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pan.14075