研究部門

埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介121020

Sci Rep. 2020 Dec 3;10(1):21098.

 

Single nucleotide vitamin D receptor polymorphisms (FokI, BsmI, ApaI, and TaqI) in the pathogenesis of prematurity complications

 

VDR遺伝子でコードされるビタミンD受容体(vitamin D receptorVDR)は、活性型ビタミンDが結合すると、細胞機能実行に極めて重要な役割を果たす。この受容体の遺伝子多型が特定の疾患に対する脆弱性の高さとますます関連しつつあることが言われている。しかし、早産児合併症に対するVDR遺伝子多型の役割に関するデータは少ない。早産児(在胎期間32週未満)114人において、われわれは、呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndromeRDS)、脳室内出血(intraventricular hemorrhageIVH)、気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasiaBPD)、壊死性腸炎(necrotizing enterocolitisNEC)、未熟児網膜症(retinopathy of prematurityROP)との関連を調べるため、4つの一塩基VDR遺伝子多型(rs2228570 (FokI)rs1544410 (BsmI)rs797532 (ApaI)rs731236 (TaqI))を解析した。結果、ApaI (rs7975232)の遺伝型CCの児では、ほぼ4BPDになりやすかった(OR 3.845p = 0.038)。一方、ApaI (rs7975232)のアレルCの早産児ではBPDNEC2.1倍発生しやすかった(それぞれ:OR 2.111OR 2.129p < 0.05)。ApaI VDR遺伝子多型は早産児のBPDNECの発症率に影響しそうである。将来、VDR遺伝子多型を考えると、早産児の合併症においては、遺伝学的研究により臨床的関連性が証明されるであろう。

 

https://www.nature.com/articles/s41598-020-78125-4