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埼玉医科大学総合医療センター小児科 文献紹介010921

Redox Biol. 2021 Jan;38:101797. Epub 2020 Nov 13.

 

Glutathione reductase deficiency alters lung development and hyperoxic responses in neonatal mice

 

細胞内抗酸化物質は高濃度酸素性肺傷害に対して防御的に働く。肺発達および気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasiaBPD)の病因におけるグルタチオン(glutathioneGSH)システムの役割についてはいまだ系統的に研究されていない。本研究では、『GSHシステムの早期障害は肺発達および高濃度酸素に対する反応に悪影響を示す』という仮説を検証するため、GSH還元酵素欠損(GSH reductase-deficientGsr-KO)新生仔マウスを利用した。野生型(wild-typeGsr-WT)とGsr-KOのマウス肺を用いて、14日間のルームエアまたは高濃度酸素(85% O2)暴露後の異なる発達段階において、病理組織学、発達マーカー、酸化還元指数、トランスクリプトーム・プロファイリングの解析を行った。Gsr-KOマウスの肺は胎仔期および新生仔期に肺胞上皮異形成を示したが、成獣期では比較的正常の肺構造だった。胎齢19日から日齢14日にかけて、日齢をマッチさせたGsr-WTよりもGsr-KO肺ではGSHとその酸化型(GSSG)が50-70%低かった。個々の発達段階で、Gsr-WTGsr-KO肺の遺伝子発現の違いを解析した。Gsr-KO肺は、胎齢19日での細胞周期とDNA損傷チェックポイントの遺伝子発現低下および日齢5での肺脂質代謝とサーファクタントの遺伝子発現低下を示した。ベースの肺形態学的異常に加えて、Gsr-KOマウスは高濃度酸素への反応が鈍かった。高濃度酸素は、Gsr-WTと比較して、Gsr-KOでは肺のチオレドキシンシステムの強い増強が生じた。Gsrに依存した高濃度酸素応答遺伝子は、日齢5での細胞骨格、骨格-筋機能、組織形態学の異常と強く関連した。まとめると、Gsr-KOマウスでのわれわれのデータは、GSHシステムが新生仔マウスにおける肺発達、細胞分化、高濃度酸素に対する反応の重要な調節因子であることを示唆した。

 

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2213231720310028?via%3Dihub